スタンレー・ホー氏の辞任、SJMの一つの時代が幕を閉じる

ギャンブル王として有名なスタンレー・ホー氏(Stanley Ho)は、SJMホールディングスの会長を正式に辞任し、マカオのギャンブル業界における約60年のキャリアに終止符を打った。

同氏は現在96歳、香港の四代一族のひとつであるホー・トン(何東)一族に生を受けた。しかし、彼の父が大恐慌のあおりを受けた影響により、多くの資産を失っている。

1942年に日本が香港への侵攻を開始した際、香港大学での勉強を断念し、マカオに避難することとなった。

その後、マカオで起業家としての才能を開花させ、多くの資産を得た。たったの10ドルでマカオに上陸し、1年以内に100万ドルを稼いだと2004年のCNNのインタビューで語っている。

同氏はその資産を使い、1962年にマカオのギャンブル独占権を獲得した。政府が2002年にギャンブル市場開放に踏み切るまで、その地位と富を欲しいままにした。

SJMホールディングスのマカオ観光・娯楽部門は、マカオのカジノ41か所のうち22か所を管理し、そのほかにもマカオジョッキークラブ、フェリー・水中翼船の運行を行うシュンタック・ホールディングス(Shun Tak Holdings)の管理も行っている。

しかし、同社はカジノ事業では競合に市場シェアを奪われており、リスボア・パレス(Lisboa Palace)がコタイ・ストリップに開業するまではシェアの縮小が続くとアナリストは予見している。リスボア・パレスは2019年末以降のオープンが予定されている。

同社は経営構造の刷新を図ったが、アナリストはその計画から経営改善の可能性を感じられないと批判的な見方をしている。

ホー氏の娘の一人であるデイジー・ホー氏(Daisy Ho)が同社の会長に、ティモシー・フォク氏(Timosy Fok)と同社社長でありホー氏の第四夫人であるアンジェラ・レオン氏(Angela Leong)が共同議長に任命された。 また、最高経営責任者(CEO)であるアンブローズ・ソー氏(Ambrose So)も、CEO兼副会長に昇格した。

バーンスタイン・リサーチ(Bernstein Research)では、「経営陣が同社を正しい道へ導けるような、ポジティブな変化は見られない」と厳しいコメントを残した。(AGB)