出稼ぎ労働者、地域経済への貢献

マカオ・ニュース・エージェンシー(MNA)のレポートによると、マカオのリサーチャーは、現地労働者が低技能外国人労働者を「単なる労働者」としてではなく、地域経済を改善する人材として捉えるべきだと話しているという。

マカオ大学のコミュニケーション科の研究員であるシ・ウェイ教授(Shi Wei) は、地元経済に反し、マカオは出稼ぎ労働者なしでは「発展できない」とMNAに対して述べている。同氏は、こうした偏見を解消するための取り組みを行うよう、地方自治体に強く呼びかけている。

シ・ウェイ氏のアドバイスは、最近発売された「中国とラスベガスを漫然と見回す:マカオの出稼ぎ労働者」(Drifting Around China and Las Vegas: Migrant Workers in Macau)という書籍に由来する。この本は、出稼ぎ労働者の生活とマカオ経済への貢献について検証している。

マカオ労働局の統計によると、マカオの外国人労働者数は、前年比で1.7%上昇し、18万1723人に達するそうだ。こうした労働者の大半に及ぶ11万4245人が中国大陸出身である。

ホスピタリティ産業に従事する労働者が最も多く、建設部門がこれに続く。

同教授の研究によると、現地住民と出稼ぎ労働者間の見解には複数の相違点があるとのことだ。

同氏は、「相容れない意見も存在します。現地の住民は、出稼ぎ労働者による公共施設の利用が増え、バスが混雑すると考え、仕事が奪われていると感じています」と話している。

また、同氏は、現地の住民に共通する見解として、外国人労働者は「単なる労働者」と見なされたり、政府という点では、単なる「正式な記録上の合計数」として捉えられる傾向があると述べている。

「彼らだって尊重すべき人間ですし、実際にマカオの経済に貢献していることからも、彼らが日々の生活に欠かすことができない存在であることを社会が気付くべきだと思います。こうした労働者はマカオのサービス業、カジノのセキュリティ、レストランのウェイター、ヘルパーなどの職に従事しています。相互に理解し合い、部外者や単なる労働者として見なすべきではありません」。

同研究者は、県境からカジノまたは建設現場まで中国大陸からの労働者を輸送するシャトルバスを手配するなど、移住者である労働者の労働環境を改善するようなシンプルな対策を提案している。結果、交通機関の混雑が緩和され、これらの労働者が同じコミュニティに属する人間として自由時間を一緒に過ごすための、より多くの公共空間が創造される。

同氏は、「地方自治体は、我々がともに生活を送っており、マカオが移住者の労働力なしでは発展できないという事実を実証し、より寛容な雰囲気を作り出すための取り組みをもっと実施できるはずです」と総括している。(AGB)