海南競馬、様々な課題に直面

中国政府の4月期の発表はと、海南が経済ハブとして「始動」し、競馬および新たな形態のスポーツくじが当該地区に将来的に導入され、王道としてのスポーツを普及させることで、楽観主義と警戒の均一化が成就されることになるだろうという内容であった。

つまるところ、競馬はすでに中国本土に普及しているものの、大半において、しっかりと整備されておらず、スポーツの金銭的に不可欠な要素である、合法的なギャンブルとしての特色が全く見受けられないのが現状である。

そして、中国の「特別行政地区」である香港とマカオでしか、競馬での賭け行為が合法化されていないのである。

香港では、競馬は膨大な資金源であり、売上高は1158億香港ドル(約1兆6300億円)に達し、香港政府にとっての巨大な収益を生み出し、様々なコミュニティへ慈善寄付という形で数10億ドル(数1000億円)相当が還元されている。

2017年、香港ジョッキークラブは305億香港ドル (約4300億円)相当の納税を行ったが、これは過去最大で、前年度比で16.9%増となった。

中国本土での競馬であるが、かつては世界屈指の豊富な資金と名声を誇っていたのだが、1949年、共産党政権下で、スポーツ賭博が禁止となった。

ギャンブル要素が伴う競馬に対する多きに待望されてきた「合法化」はまだ実現されておらず、過去、広州と北京では競馬場が建造されてきたが、財政難に陥り、腐敗化してしまい、結局、何100万ドル(何億円)という民間投資が水の泡と化したのであった。

2017年、100を超える数の競馬および展示が中国全土で開催され、複数の乗馬クラブでの会員登録総数が97万人を越えたことが北京ターフと馬術協会(Beijing Turf & Equestrian Association)にて発表されている。

今回の海南の発表であるが、こうした民間の事業とは異なり、競馬が認可された活動であるとする保証が中央政府による公式声明および最高指導者である習近平の言質という厳格な形態を伴う点である。

依然、海南の開発には中国本土では見られないような自由の要素が組み込まれていて、競馬と賭博という言葉は声明においても全く融合しないままである。

同時に、懸念であるのは競馬産業を全くのゼロから作り上げるという途方もない課題である。

「中国は数々のことを実行することができるものの、依然、時間がかかります」と、香港ジョッキークラブのCEO を務めるウィンフライド・エンゲルブレット・ブレスゲス氏(Winfried Engelbrecht-Bresges) が言う。「大掛かりな開発であり、テクノロジーから競馬の運営管理、競馬場の管理、騎手、調教師、蹄鉄工、厩務員(厩舎スタッフ)まで勘案すべき要素は無数に存在します」。

アジアを拠点とする産業専門家のペッパー・エクィーン(Pepper Equine)のガレース・ペッパー氏(Gareth Pepper)は、競馬に、が産業の起点として、「クリーン・スレート(白紙の状態)」 が付与されたことは素晴らしいことだ、と言いながら警告を促している。

「着手にあたってはしかるべき人材を確保する必要があります。競馬界にはこのような機会に乗じて金儲けを画策し、あぶく銭を手に入れようと企図する人間がいるので、注意が必要です。騎手から調教師、報道関係者、ジャーナリストに至るまで、あらゆる部分でプロが必要であり、こうした関係者が一体となって最上を目指すべきであり、そうでないと、上手くゆかないことでしょう。全くのゼロから作り上げることができるのは素晴らしい機会であり、キャンバスは真っ黒ですが、二度とはない機会なのです」。(AGB)