IR基本方針、遅延は避けられない状況に

日本のIR計画が最終的に現在の政策方針に沿って進むかどうかは別として、ここ数週間の状況の変化により、計画が予定通りに進む可能性が低くなってきた。

IR方針について政府の沈黙が続いており、すぐにでも計画を確認し、前進する可能性は残されてはいるが、その可能性は低い状態である。

カジノ管理委員会は予定通り1月上旬に設立されたが、同月に発表される予定でいた国土交通省の基本方針の発表が遅れている。そして、いつ発表されるかについての兆候はない。

3つのIRの区域認定のために手をあげている横浜、大阪、和歌山および長崎の4つの自治体は、政府からの明確なガイドラインが不足しているにもかかわらず、それぞれIR計画を推進している。現在、今夏と秋にかけてIRコンソーシアムのパートナーを選択する予定でいる。

予定通りに進めば、政府への申請は2021年1月4日から7月30日の間になる。

しかし、新型コロナウイルスによる国内のさまざまな規制や外出自粛が外出禁止に引き上げられる可能性により、外国との移動手段が断たれ、日本と世界各国間の移動が困難になっている。

各自治体に対する計画をまとめる国際的IR事業者にとって、外資のパートナーと自由に交流できず、時には従業員が現地のオフィスを訪問できない状況下で業務を続ける状況が続く。

さらに、本来は日本の開発計画に注がれていたはずの上級幹部の注意は、代わりに手持ちの施設の閉鎖や諸問題の対処に移ってしまっている。

新型コロナウイルスの感染を封じ込めるための医療保険制度と対処機関が不足しているアメリカに本拠を置く大手ラスベガスのIR事業者には、長く厳しい戦いが待っている。

また、ダニエル・チェン氏が先週指摘したように、IR事業者と将来の日本のIRコンソーシアムパートナーの両方が、新型コロナウイルスの危機と東京オリンピックの遅延を考慮し、自社の財務能力を再評価する必要がある。各社の答えが出るには数ヶ月以上は掛かる。

強行することも可能だが、基本的な課題を指摘することは難しくない。日本政府もゲーミング業界も、現時点ではIRプロセスを既存のスケジュールに従って推進する立場ではない。双方の注意は必然的に差し迫った問題に集中し、確固たる財務予測は不可能になっている。

安倍政権がこれらの現実を受け止め、1年か2年のタイムラインの遅延を発表するか、または東京五輪の強行を利害関係者が撤退するまで「頑固に」進めるかどうかの答えはまだ出ていない。(AGB Nippon)