政治家はIR実施法案に楽観的であるが、課題が残る

日本の与党は、IR推進派はそれぞれ異なる方針を示しているものの、6月20日の通常国会終了までにIR問題に取り組むため、カジノ法案施行とカジノを取り巻く様々な問題に対する法整備の両方を進めるべきであると主張している。

東京で行われているジャパン・ゲーミング・コングレスのオープニングパネルでは、日本の各政党の主要政治家が、現在も議論されている法整備に関して、IR導入を実現可能とするため今後の展望を示した。

統合型リゾート施設(IR)実施法案は日本国内の政治的事由により国会成立が再度見送られる可能性が否定できず、懸念を払しょくできない。

公明党のIR推進派である遠山清彦議員は、与野党は、今後数週間にギャンブル依存症に関して議論し、両党での統一法案の提出を目指していると述べた。同氏はまた、「自民党と野党と協力体制で、通常国会終了前に、衆参両方で法案を可決したい」とも語っている。
しかし、木曜日午前の議会では、政治家間でIRに対する意見に相違があることを浮き彫りとする結果となり、短期間に成立まで辿り着けるかどうかは非常に不透明である。無所属の柿沢未途議員は、「これは国会審議前のシャドウボクシングのようなものだ。」とコメントしている。
課税率、ライセンスの期間、そしてリゾート建設承認プロセスの煩雑さ等が問題として提起されている。これらの問題が山積する限り、2020年の東京オリンピックおよび2025年の世界万博(大阪)での貴重な宣伝機会を失うことになるだろう。

また、IR誘致場所やIR実施法案自体が大都市誘致に有利であることも議論されている。

与党自民党のIRチーム事務局長である阿達雅志議員は、早くても2026年のオープンとなるとし、柿沢氏の2030年の可能性が高いとの見解を否定した。遠山氏も、柿沢氏の消費税と法人税を考慮した実効税率が50%に上る可能性があるという主張を否定し、31〜32%近くの税率に収まるだろうと修正した。

カジノフロア面積の3%制限など、IR実施法案の中には規制が厳しすぎるものも存在するため、特に小規模な地方都市で、開発への投資を鈍らせる可能性があることが危惧されている。

カジノ収入がないとすれば、その費用対効果の縮小から大手IRオペレーターは軒並み日本IR開発への投資の手を止める可能性がある。

モルガン・スタンレーのアジア常務取締役であるプラビーン・チャードハリ氏(Praveen Choudhary)は、「IR開発は、経験に基づく資金提供を行うために、十分な時間を準備すべきである」と述べている。また、3%の面積制限についても厳しすぎるのではないかと言及している。

また、パネリストからは、マカオで成り立っているVIPを重視した運営モデルではなく、マス・マーケットやプレミアム・マスを重視したモデルの方が市場として成功する可能性が高いという意見も散見された。

シンガポールなどの他市場とは異なり、日本はジャンケットを配置せず、税金についてVIPへの優遇等は特に行わない。これらは、日本がマス・マーケットやプレミアム・マスを重視する方針であることを示している。(AGB Nippon)