ナイトクラブ、アジアIRの収益促進を後押し出来るか

日本のIRとして考慮されるべき非ゲーミング・アトラクションには主要ナイトクラブが挙げられる。IRの目的の1つは、日本国内で24時間営業型の娯楽を提供し、個人の消費の引き上げを実現することである。こうした動きはアジアの他の地域では既に進行している。

例えば、マリーナベイ・サンズ(シンガポール)は、来年、世界トップのナイトクラブ・ブランドの1つをシンガポールに展開することになっている。結果、同地域の最新の主要IRとなり、ラスベガスの活気あるナイト・シーンの成功を実現すべく、娯楽にクラブ要素が組み込まれる。

サンズはタオ・グループと連携し、アジア初のマーキー・クラブ(Marquee Club)を展開することになる。このナイトクラブは大規模な3階建てで、施設内には8つゴンドラを吊した観覧車が配置される。

メルコリゾーツ&エンターテイメントは、2011年、シティ・オブ・ドリーム・リゾート(マカオ)に世界的に有名なクラブ・キュービック(Club Cubic)をオープンさせた。また、2016年には、スタジオ・シティ・リゾート(マカオ)に世界的に有名なパチャ・クラブ(Pacha Club)を展開させた。一方、ギャラクシー・エンターテイメントは、改装を経て、チャイナ・ルージュ(China Rouge)を同年に再オープンした。

2008年にアンコール・ラスベガスにウィン・リゾーツのXSを展開して以来、ラスベガスにおけるナイトクラブは、いっそう重要な収益牽引力となってきた。ラスベガス観光局によると、ナイトクラブは、米国のギャンブル拠点であるラスベガスへのビジター層の変化に貢献し、ミレニアム世代が全ビジターの38%を占めるそうだ。

ただし、ナイトクラブがIRにとって賢明な投資であるかどうかは難しい問いである。パチャとパンゲアをアジアに導入してきたシニア・エンターテイメント・エグゼクティブのジョン・ラッチカ氏(John Raczka)は、ナイトクラブの成功にあたっては、数多くの要素が揃う必要があると述べている。

また、同氏は、「ナイトクラブがどれだけ格好良くて規模が大きくても、実際の運営状況やその期間については、無形要素という性質上、実際にやってみない限り、分かりません」と話している。

アジアのクラブ運営者にとっての、既存のクラブが、実際、どのような運営業績を出しているかについての具体的な数値はほとんど存在しない。マカオでは、非ゲーミング収益は上昇しているが、総収益の12%ほどで、ラスベガスの65%という水準にはほど遠い。モルガン・スタンレーのアナリストたちは、今年初期のレポートにおいて、マカオがこうした水準の非ゲーミング収益を生成することは疑わしいと述べている。

日本については、IR運営者がアトラクションの選択肢として主要ナイトクラブを作るかどうか、まだ明らかではない。(AGB)