日本IR、投資アナリストは悲観的

マニラで開催されているASEANゲーミング・サミットで20日、投資アナリストのパネル登壇者は日本IRにおける規制おおび高額な運営費と初期投資の影響が議論された。同アナリスト達はIR事業者よりは悲観的であり、市場のポテンシャル、株主のリターン、そしてゲーミングによる総粗利益などは予想を下回ると述べた。

政府は第一フェーズでIRライセンスを全国3ヵ所を上限に、カジノのフロアスペースをIR全体の3%未満の床面積に限定する。さらに日本人は6000円の入場料と入場回数制限などが設けられる。

モーガン・スタンレー・アジアのマネージング・ディレクターであるプラビーン・シュドゥリー氏(Praveen Choudhary)の楽観的な予想によると、大型IRが2か所と地方型IRが1か所と想定した場合、日本は90億ドル(約1兆円)市場になる。

しかし、日本はパチンコ大国であるが平均ベットが2000円程度であり、高額な建設費用と運営コストが必要となる。さらにジャンケットによるVIP事業を行えない状況など全ての要素を考慮すると「急にリターンの魅力が落ちてしまいます」と同氏はコメントします。
シティ・グループのマネージング・ディレクターであるアニル・ダスワニ氏(Anil Daswani)は、十分なゲーミング粗利益を得るためには2か所以上の大型都市IRが必要になると述べた。「小さな街で建設する道を選ぶと日本は勢いに欠ける市場になります。」

さらにダスワニ氏は近隣市場の例を出し「我々は30億ドル(約3340億円)の収益をあげているマリナベイ・サンズをベンチマークにしています。日本はそれを上回る40億ドル(約4450億円)になりますが、マカオのように一年目から1億4000万ドル(約156億円)のEBITDA(金利・税金・償却前利益)および10%以上の投下資本リターンなどは見込めません。」

外国資本の問題に関して、登壇したアナリストは日本の企業を含むコンソーシアムによりIRは開発されると声を揃えた。

バーンスタインのシニア・リサーチ・アナリストのビタリ・ユマンスキー氏(Vitaly Umanski)によるとラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands)は先行しているようにみえるが、支配権を持てなければ日本参入は期待できないと述べた。「サンズはオーナーではなく管理者のみとしてIRに参加するとは思いません」と同氏はサンズの企業体質を語った。「それにより日本は劣等のゲーミング市場になってしまいます。」 (AGB)