大手IR事業者、横浜に焦点を

横浜市の林文子市長によるIR誘致の表明が大手IR事業者の間に大騒ぎを起こし、ラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands)は大阪とのパートナーシップを見送りにし、メルコリゾーツ&エンターテインメント(Melco Resorts & Entertainment)が横浜オフィスの開設を発表するなど新たな展開を引き起こした。

林市長の記者会見が全国メディアで話題となった。林市長はIRを誘致する方針を固めたことについて「市内の宿泊客は他の自治体より少なく、将来に強い危機感がある。横浜の飛躍にはIRが必要だ」と説明した。

ラスベガス・サンズの会長兼最高経営責任者のシェルドン・アデルソン氏(Sheldon Adelson)はプレスリリースを出し、サンズは大阪のIR入札を見送り、東京と横浜に焦点を当てるという旨を伝えた。

アデルソン氏は「長年にわたる戦略とそれを達成してきた実績に沿い、ラスベガス・サンズはマカオ、シンガポール、およびラスベガスですでに展開しているポートフォリオに大きな再投資を行い、配当と株式買戻しプログラムを通じて株主の皆様に還元し、また業界をリードする対投資リターンを維持することのできる新たな開発機会を追求することによって有機的な成長を推進する計画です。東京と横浜への投資はまさにこれを実現するための最善の機会であると考えています」と述べた。

東京がIR誘致競争に参加する見通しがないため、この発表は事実上サンズが横浜への入札に専念するということになる。

一方では、メルコの会長兼最高経営責任者のローレンス・ホー氏(Lawrence Ho)も声明を発表し「横浜が市内に統合型リゾートを誘致する意思を表明したというニュースを聞いて、大変期待が膨らんでおります。横浜が有する立地条件、充実した通信システム、活気、開拓精神は、今回のような大規模で多くの注目を集める開発にとって大変魅力的です。メルコは、この地域とのコミュニケーションを更に深めるために、経験豊富で献身性の高い専門チームを、新しい横浜オフィスに配置いたします」と意気込みを示した。

また、メルコの横浜における活動を率いるため齊藤直人氏が上席執行役員に任命された。斎藤氏は日本興業銀行、ボストンコンサルティンググループ、日本マクドナルド、エンターテインメント会社のアミューズで努める経験を持ち合わせている。

ギャラクシーエンターテインメント(Galaxy Entertainment)の副会長フランシス・ルイ氏(Francis Lui)も横浜のIR誘致を歓迎する声明を発表したが、ギャラクシーの方針を明かすような情報はなかった。(AGB Nippon)