新型コロナウイルス感染症、パチンコ産業の減退を加速

危機とは、新しい傾向を生み出すではなく、平和の時代のゆとりのある進化より早く、歴史の流、すでに出来つつある傾向を加速するものである。

以前の記事では、従来型の施設からオンライン上のギャンブルへのシフトが新型コロナウイルス感染症(Covid-19)により加速されていることに触れたが、どうやら日本の立派なパチンコ産業の減退も加速されているようだ。

この25年間、パチンコ産業が減退傾向にあることが確か。現在では、全国のパチンコ店の数が約9000店舗である。1995年のピーク時はその倍以上の数だった。

分断が激しく進んでいるパチンコ産業は毎年毎年新たな損失があり、収益がどんどん減少するにつれて破綻する企業が増えている。規模の小さな店舗は常に倒産の一、二歩先んじているのが現実。

パチンコ産業は、すべての意味でCovid-19の緊急事態に耐える最悪の立場にある。

まずは金融上の問題。緊急事態の前から破産寸前のパチンコ業者があまりにも多くて、数日もしくは数週間の営業自粛で後戻りが出来なくなるでしょう。

パチンコは必要不可欠な事業で緊急事態が続く間に維持すべきだ、という道理に合った言い分はない。また、危機を乗り越えるために公的資金の注入に該当する企業を判断する政策立案者から、パチンコ産業の経営不振が同情をひくとは考えにくい。

しかし、問題はこれだけではない。パチンコ店とは、Covid-19クラスター発生の典型例である。換気の悪い部屋にたくさんの人が入って並ぶように座る。煙だらけ中で一つの機械に、目を擦る人々が触れる。また、喫煙者が感染すれば重症化するリスクが高いという研究も発表されている。

営業上の絶望のせいか、政府の同情を失い、世間の恨みを買うような行動をしているパチンコ店がある。

世間的に責任のある行動を取り、すぐに休業する大手チェーン店があるものの、休業要請を無視する事業者もある。ソーシャル・ディスタンシングに協力せず客が長い列を作る店舗もあり、近所の住民が市役所に定期的に苦情を出しているようだ。

県知事も緊急事態の実施を担当する西村康稔経済再生相も、コロナ感染症に対する措置に一番協力していないのがパチンコ産業であると指をさしている。パチンコ産業全体にとってPR面の悪夢である。

しかし、Covid-19パンデミックがいつまで続くか知るすべがなく、レストランやそのほかの歓楽の施設を含むほとんどの産業が影響を受けている。

危機が収まったときには、人々は外食をしたり遊びに出かけたりする必要がある。しかし、消えつつあるパチンコ産業が完全に回復するかどうかはそれほど確かではない。Covid-19により倒産するパチンコ事業者もあり、これからの歳月で現在のパチンコ店の大きな一握りがただ単に消える可能性も高い。

これはもちろん、日本の将来のIR産業にも間接的な影響を与える。パチンコとIR両方に通じているユニバーサル・エンターテインメントやパチスロ機械を開発しているセガサミー・ホールディングスなどの企業は、売上高が予想より早く減少し、IR開発戦略に影響が出るかもしれない。

Covid-19の総合的な影響は未知であるが、感染症は従来型のパチンコ産業を全速で消滅へ追い込んでいることに間違いない。(AGB Nippon)