長崎県が前進し和歌山県と拮抗

ここ数週間の間、長崎県は前進し、IRライセンス取得を争う主要ライバルである和歌山県と拮抗している。

現在、IR区域認定申請のため長い間準備してきた自治体が4カ所存在するが、与えられる区域認定は3つしかない。

さらに東京都と愛知県においては焦点が絞られていないが、土壇場でIRの挑戦者として浮上する可能性があり、特に新型コロナウイルスやその他の要因により国のタイムラインが先延ばしになった場合は確率が高くなる。

いずれにせよ、現在4カ所の候補者がリングに上がっており、少なくとも1カ所には失望の運命が待っている。

大阪は勝者の輪に入る最有力候補である。横浜または東京は地元の政治的反対により計画が崩壊する可能性もあるが、有力な候補となる。

関西地域と関東地域にそれぞれIRが出来るとして、和歌山と長崎が最後の1枠を争う形になる。

経済的なポテンシャルが決定要因であるならば、和歌山に優位性があるようにみえる。大阪夢洲のIRとの相乗効果を生み出す計画は堅実である。多くの外国人訪問者にとって、関西国際空港に近い和歌山マリーナシティに行くことは、長崎や九州地方に行くことより簡単である。また、和歌山は日帰り範囲内の関西各地から観光客を集めることも出来る。

その意味では、人口と市場ポテンシャルの規模が比較的小さくなる長崎は、3つの区域認定のうちの1つを取得するには大穴の位置にいるとも考えられる。

しかし、それぞれのRFPの手続きに関しては、長崎はより適切な行政決定を行ってきたため、和歌山に追いつき拮抗しているとも言える。

和歌山県の仁坂吉伸知事は、ハイペースなスケジュールを守るために迅速に動き過ぎたのかもしれない。 3月下旬の新型コロナウイルスの危機の中で、知事は「国がスケジュールを変更しない限り、予定通りするしかない」と宣言した。

この判断の代償は大きくなる恐れがある。入札を辛抱強く準備していた2つの潜在的な事業者であるバリエール(Barriere)とブルームベリー(Bloomberry)は、Covid-19により事業に障害が生じていたため、計画通りに物事を進めることができなかった。結局は、入札者として合格したのは2社のみ。サンシティ・グループ(Suncity Group)(マカオのジャンケット会社としての背景があり、完全に潔白な事業記録を日本当局に納得させることが困難になる可能性がある)、およびクレアベスト(Clairvest)(未だ公表されていないIR事業者のために枠を保持しているとも言われている)。

今週、和歌山はついに予定の先送りを発表したが、一歩遅れだった。他の事業者に地元の競争に再び参加することを許す形の変更ではなく、既に受け入れられた2つの企業に、提案を提出するための時間を延ばしたに過ぎない。IRの設置運営事業者は2021年1月に選定される予定である。しかし、この予定の先送りが可能ならば、もっと早い段階で行ったほうが効果的であった。

対照的に長崎の進め方は正しくみえる。

今年の初めに行ったRFCには3社が参加した:オシドリ・インターナショナル(Oshidori International)、カジノ・オーストリア(Casinos Austria)、カレント・コーポレーション(Current Corporation)。この3社はアジア圏の業界では名が通っている訳でもなく、ハウステンボスの候補地に国際的IR事業者が興味を持っている印象は受けなかった。

しかし、長崎県庁はこの事実を十分認識しているようで、RFPを急ぐのではなく、最終的な参加者を増やすために多くのIR事業者と再び対話を持つ努力をしている。この試みは長崎が必要としているニーズに合った事業者を選定する可能性を上げている。

今後も多くの要素があり、たった一つの出来事で形成が変わることもあり得るが、長崎は和歌山よりもRFPの初期プロセスを上手く進めていることは注目するべきポイントである。(AGB Nippon)