横浜市長選、候補が増え予測不可能に

Hayashi

IR賛成の現職とIR反対の対抗馬との一騎打ちという横浜市長選のシナリオはこの数週間で大きく変わった。現時点では6人の候補者が出馬表明しており、現職の林文子市長は再選に対する態度を示していない。

誰もが予想出来なかったのは、小此木八郎氏が官僚を辞め、IR取りやめを明言して出馬したことである。この展開は市長選を予測不可能な状況にし、横浜市におけるIRの可能性を大きく下げた。

与党出身の候補者でIR反対を示した小此木氏は現時点では次期市長の最有力候補になるが、もちろんのことに彼の出馬にもいくつかの壁がある。

特に地元の自民党関係者は公にIRを推奨してきたため、態度を変えて今までの言動を撤回するような事態は避けたいはずである。

また、横浜商工会議所などの経済界は依然として山下ふ頭におけるIR誘致に同意している。

元町・中華街・馬車道の企業を代表する団体である「関内・関外地域活性化協議会」は今週火曜日に林文子市長と面会し、IR賛成の立場で出馬するよう嘆願書を提出した。

もし林文子市長が再選を目指せば、与党の組織票が小此木氏と林氏で分け合ってしまう可能性もあり、展開を予想するのは難しい状況である。

現時点ではIR反対を明言している候補者は5人、反対派も一人の候補で纏まっているとは言い難い。立憲民主党は江田憲司氏の後押しもあり、政治経験のない大学教授、山中竹春氏を推薦している。

しかし山中氏は、共産党やカジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会、藤木幸夫氏が率いる横浜港ハーバーリゾート協会などの横浜でIR反対の旗を掲げる他の団体の支援をまとめられるかはまだ分からない。

他の候補者4人は組織的な支援がないが、地元の賛同を得られる事が出来れば誰でも選挙戦で善戦をする可能性はある。太田正孝氏、藤村晃子氏、坪倉良和氏はIR反対の姿勢を示し、福田峰之氏のみが唯一IR誘致に賛成している。

IR誘致の議論は市長選に大きくのしかかっているため、次期市長を予想するどころか、どの勢力がどの候補者を後押しするのかも読めない。

例えば、江田氏の推薦とIR反対の姿勢を理由に藤木氏は山中氏の出馬を応援する準備していたと言われている。しかし、小此木氏もIR反対姿勢を取ったため、本人の陣営を援護するように藤木氏に要請しないわけにはいかない

現状、いくつかの候補者が接戦に持ち込むことも考えられる。小此木氏が有力ともいえるが、この成功と失敗は紙一重であり、自民党からは造反者扱いされる危険もある。

いずれせよ、この市長選に横浜IRの未来が懸かっている。(AGB Nippon)