500ドットコムは無実を主張

500ドットコムの贈収賄事件が公になってから10か月が経つが、最も罪が重い人物たちから不正を自白していなければ、罪を償う決定も未だ下されていない。

中国の深センに本拠を置くスポーツくじ会社である500ドットコムは、秋元司元内閣府副大臣など複数の政治関係者に賄賂を贈ったとされている。新たな展開で500ドットコムは、本件を調べるために今年1月に設立された特別調査委員会が、同社の「日本における過去の活動に関連して、1977年の米国海外腐敗行為防止法の違反を立証するための十分な根拠を見つけられなかった」という説明をナスダック株式取引市場に報告した。

本調査は、香港の多国籍法律事務所であるキング&ウッド・マーレソンズ(King&Wood Mallesons)を法律顧問とした完全独立調査として実施されたことになっている。

また、同社の声明は決まり台詞のよう続く。「特別調査委員会は、King&Wood Mallesonsからの提言のもと、弊社のコンプライアンスポリシー、手順、および内部統制も調査しました。弊社は、特別調査委員会の提言に基づいて、このような方針、手順、および内部統制を更新しており、必要に応じて内部統制を引き続き強化していきます。」

昨年12月にスキャンダル事件が明るみになって以降、500ドットコムは堅く口を閉ざしている。かつて同社の主要幹部であった元取締役兼最高経営責任者のパン・セイメイ氏(Zhengming Pan)は2月上旬に追放された。結局のところ、発表された唯一の対応策は違法行為がなかったことを報告するために10か月の時間を要した特別調査委員会調査のみ。

そして先月末、不可解な動きで500ドットコムは監査役のフリードマンLLP(Friedman LLP)が日本の贈収賄事件に関連して退任したことを発表した。

こちらの声明では、次のような理由が挙げられている。「フリードマン社は、弊社の元コンサルタント3名が日本における統合型リゾートの潜在的な開発案件に関与している間に違法な支払いの疑いがもたれたことにより、財務報告に対する会社の内部統制の有効性について弊社の経営陣と意見の相違があったため、弊社の監査役を退任することを選択しました。

フリードマン社は、この支払いが弊社の内部統制に関連する重大な弱点を反映している可能性があると判断しました。フリードマン社は2020年9月23日に、支払いの一部が2017年と2018年に行われたため、弊社の2017年および2018年の12月31日に終了した会計年度の連結財務諸表を作成するにあたって、フリードマン側に違法とされている支払いの目的を認知していなかったと説明しました。したがって、フリードマン社が発行した2017年および2018年12月31日に終了した会計年度の弊社の統合監査報告書に含まれている連結財務諸表は信頼されるべきでありません。弊社の監査委員会はこの問題についてフリードマン側と話し合い、フリードマン側の結論に同意していない。監査委員会は、関連する監査報告書が不正確または誤解を招くことを示唆する情報が含まれているとは認識していません。」

フリードマン社の退任の結果、500ドットコムの取締役会は別の監査役に任命した。

事実としては、500ドットコムは、一般社会と米国株式市場に対して不正行為については無罪であると主張し、元コンサルタントを含む日本人が同社の代わりに賄賂を支払ったことを裁判で認めているという事実について意見は述べていない。

先月、加森観光元会長の加森公人容疑者は、秋元司議員への賄賂行為に関与していたことを認め、執行猶予付きの判決を受けた。加森容疑者の法廷での声明のなかで、「北海道留寿都村にIRを誘致するよう熱心に訴え、積極的に犯罪に関与しました。 IR政策への信頼を著しく損なう悪質な犯罪でした。」

事件に関与した伏兵とも言える脇役が法による罰を受けながら、この物語の中心的な役割を持つ中国の500ドットコムと秋元司容疑者は一切の関与を認めてなく、無罪を主張し続けている。

彼らがいずれ責任を取ることになるのか、または政治システムを取り締まる役割の者によって責任を問われるのかは、時が経たなければわからない。(AGB Nippon)