IRの設立は新たなセキュリティ上の課題をもたらすと思われるが、ウィン・リゾーツ(Wynn Resorts)の企業セキュリティ上級副社長であるジェームズ・スターン氏(James Stern)によれば、日本はそれらの問題に対してうまく対応が出来るだろうとのこと。
スターン氏は日本人とのハーフであり、ウィン・リゾーツ入社前は日本の犯罪組織を担当するFBI捜査官だったというユニークな経歴の持ち主である。警察庁本部での交流プログラムに携わっていた経験もある。
スターン氏はAGB Nipponとの独占インタビューで「最大のセキュリティ問題は組織犯罪に関連したものだろう」と予測。
とはいえ1980年代や90年代と比べると日本の警察が暴力団等の扱いにはるかに長けてきているとも指摘し、「自分がFBIにいた頃の日本とは違う」とスターン氏は述べた。
スターン氏は日本の警察を「組織犯罪、麻薬密輸、資金洗浄等に関する経験が豊富であり、捜査も非常に堪能」と高く評価。
また些細な規模での資金洗浄が取り逃がされる可能性はあるものの、犯人逮捕に至るまでに精査もなしに湯水のごとく現金が流れ出て行くような状況に発展する可能性は低いとも指摘。
スターン氏は国内でどのIR事業者がライセンスを取得したとしても、「各事業者が強い存在感と統率力を持った経験豊かな安全主任担当官であることが必要」と述べた。
安全主任担当官らはカジノ用に2つの監視チームを取り締まる。片方のチームは欺師行為やそれ関連の問題を防止すべく監視を行い、もう片方のチームは出入り口や駐車場、エレーベーター、そして利用客らを数百にも及ぶと思われる監視カメラを通し物理的安全管理措置を行う。
スターン氏は資金洗浄や暴力行為、また盗難等が通常のIRの懸念事項であるとしているが日本での安全上の課題は実際には他国と比べてさほど深刻ではないと考えている。
「米国と比べると日本ははるかに安全だ」とスターン氏は言う。(AGB Nippon)