世界に通用する統合型リゾート(IR)を日本で実現するという目標に向けて2017年に東京に拠点を移した日本社長兼代表執行役員ウィリアム・シェン氏に、日本での生活、IR業界での経験、シーザーズのジャパン・エンターテインメント・リゾートのビジョンについて聞きました。
ご自身の生い立ちや経歴、日本社長に就任するに至った経緯を教えてください。
育ちは米国オハイオ州ですが、日本は常に身近な存在でした。というのも、叔母と叔父が東京に住んでいたので、物心がついてから数え切れないほど来日しました。祖父も日本に留学した経験を持ち、日本と日本文化には常に興味を抱いていました。MITを卒業し、スタンフォード大学でMBAを取得した後、ベイン・アンド・カンパニーで戦略コンサルタントとして社会人キャリアをスタートしました。ちょうどシンガポールがIRを検討している時期に、シンガポールの高級ホテルのプロジェクトに参画し、IR業界が単にホスピタリティーだけではなく、ライブエンターテインメントや小売りをはじめ多様なアトラクションの楽しさをひとつ屋根の下に集結したものであることに気付きました。それから、こうしたIRという巨大プロジェクトの実現に携わってみたいと思うようになり、2006年にシーザーズ・エンターテインメントに入社しました。入社後、日本には何度も来日し、釧路から沖縄までIRを検討する様々な地方自治体や企業を訪問し協力してきました。そして昨年、日本オフィスの指揮にあたるため、家族とともに日本へ拠点を移しました。
IR実施法が成立しました。ライセンス獲得に向けて、まず何をすべきであるとお考えですか。
IR実施法の成立を嬉しく思います。私の役割は、シーザーズが高い信頼性と透明性、革新力を有する日本の最適なパートナーであるという点を訴求し続けることです。今後もパートナー候補との関係構築、知名度の向上、市場機会の評価を継続していくためには多大なマンパワーと専門知識を持つ人材が必要です。私のもう一つの重要な役割は、こうした活動を実施する日本人からなる日本チームを構築することです。シーザーズ・エンターテインメントは、業界一の多様性と規模を誇っています。日本でIRが成功するためには、地元社会のニーズを本当に理解した上で開発、運営することが重要だと考えています。この点において、シーザーズは、日本の文化やビジネス慣習を常に意識し、尊重して取り組んでいく所存です。
優れた世界的IRを日本に実現するため、ご自分の強みはどこにあると思いますか。
建設中のシーザーズ・コリアの共同CEOも務めています。これは17万㎡の旗艦リゾートとなる十億ドル規模のプロジェクトで、これまで政府との対話を重ね、地域企業とのジョイントベンチャー交渉の努力を積み重ねてきました。現在、提携先とのプロジェクト管理を通じて、互いの文化の違いを乗越え結果を出すべく取り組んでおり、こうした実績が日本でも生かせると思っています。シーザーズでは数十年規模のものを含め様々な事業提供を行っており、豊かな事業提携の経験と柔軟な姿勢は、日本にとっても良い長期的なパートナーになりうる資質だと自負しています。
日本の生活はどうですか。余暇はどう過ごしていますか。
家族全員で日本の生活を楽しんでいます。日本以前の10年間は香港だったので、一番下の娘は初めて四季を楽しんでいます。家族のお気に入りは新宿御苑で、季節が変わるたびに訪れています。日本食も好きで、常に新しいレストランをチェックしています。娘は2歳にして「海老天うどん」を自分で注文できるようになりました。子供たちの日本語習得能力には驚かされると同時にうらやましくもあります。私は中国語が出来ますが、日本語の勉強は難しいと感じています。出来る限り勉強していますが、今後も「がんばる」しかないですね。(広告)