アナリストによると、シンガポールは国内の統合型リゾート2ヵ所の67億米ドル(約7400億円)に値する拡張を許可した合意により、税金と入場料の収益が増加することでシンガポール政府が一番恩恵を受けるとされている。
合意が発表された後、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)はゲンティン・シンガポール(Genting Singapore)を均等ウェイトに格下げし、短期的な損失の上に新しい施設の建設が完了する2024年まで上昇することはないと述べた。
モルガン・スタンレーによると、シンガポール人がゲンティンの訪問者の25%を占め、その中の10%が入場料の50%倍増で離れるという前提で考えると、ゲンティンのEBITDA(金利・税金・償却前利益)は2019年~2021年にかけて2%減少することが予想される。オペレーターが支払う税金も3%上がり、EBITDAが2022年から更に6%下がる見通し。
また、大手ライバルのマリーナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)にマーケットシェアを奪われるリスクも伴うと同社が指摘した。
カジノ拡張が発表された4月4日にゲンティンの株価が急落したが、5日には1.5%に回復した。
拡張の計画では、2ヵ所の統合型リゾートはノン・ゲーミング施設に33億米ドル(約3700億円)を投資することになっている。その見返りとして、ゲーミング面積とゲーミング機器台数を拡張することが許可される。しかし、全体的な拡張をみるとノン・ゲーミング面積に対してゲーミング面積の比率が下がる。
ユニオン・ゲーミング(Union Gaming)はゲンティン・シンガポールに対する予想を下方修正すると述べたが、カジノの入場料はカンボジア、マカオ、ベトナムなどの同地域市場にいい影響と与え、他の地域における航空券の価格低下に繋がる可能性も指摘した。
同社のレポートは「これが見当違いであり、問題あるギャンブルに繋がりかねない。カジュアルなマス向け市場にも悪影響を及ぼす。したがって、リゾーツ・ワールド・セントーサ(Resorts World Sentosa)のマス向けゲーミング総粗収益がこれから12ヶ月間15%減少することを想定している」と述べた。(AGB)