AGB Nipponとの独占インタビューをさせて頂いた長崎副知事の平田研氏は、国の大事となる話題に触れつつ日本の最も準備が進んでいる地方自治体IR候補者について詳しく話を聞かせていただきました。
政府で長いキャリアを誇る平田氏は以前に道路・建設を専門に国土交通省で務めた経験を持つ。現在は3つあるIRライセンスを目指す長崎に、その知恵と経験をもって加勢している。
長崎は比較的に小さな市場であるにもかかわらず、いくつかの利点を持っていると平田氏が指摘する。
まず、長崎がアジアからの観光客を引き寄せるのに良い立場にあるというのは政府にとっても魅力的である。カジノゲーミングの合法化にはこれが元々最優先の目標だったからだ。
また、長崎の政治的かつ一般的なIR支持率が他のどの候補地より強い。この点に関して議論の余地がほとんどない。長崎県と佐世保市は何年も公の場で活動し、現地の新聞による世論調査ではIR誘致に対する支持率が日本で初めて過半数となっている。市民の同意を得るという面では長崎が唯一の候補地であり、大阪が遠い二位とも言えるでしょう。
その上で、北九州がIR競争に参加しない最近のニュースにより、長崎県の「全九州」キャンペーンが改めて軌道に乗るでしょう。
しかし、長崎の「海と島」IR誘致は完全に順風満帆だったとは言えない。
一つの難問となったのは、テーマパークのハウステンボスが初期段階の予想と違って、IRプロジェクトの積極的な協力者にならなかったことである。エイチ・アイ・エス取締役会長の澤田秀雄氏はIRイニシアティブに対して不熱心で、莫大な資金を必要とするIR建設からリターンが取れるかということに対し何度か不安を表し、IRの成功に賭けたくないようである。
それでも、澤田氏はIRイニシアティブに対する長崎の情熱を認め、他の投資家道を譲ることにした。また、長崎県がIR誘致に成功すれば、澤田氏は30ヘクタールの土地を売却することに合意している。これが実現すればハウステンボスとIRがお隣さんとなる。
これではテーマパークとIRは具体的にどんな関係になるのか。平田氏にもその答えが定かではないが、二つの事業は実践的なレベルでは大きく協力すると同氏が考える。また、日本IRの主な役割は観光復興であり、IRの隣にあるテーマパークも観光客を必然的に引き寄せることを指摘した。
このインタビューで、平田氏が触れた最も報道価値があるのは、最近の事業コンセプト案募集(RFC)に3つの事業者しか参加しなかったとはいえ、事業計画公募(RFP)の最終段階になったら他の事業者が乗り出してもおかしくないと示唆したことである。段取りを踏んで参加することが義務付けられていないので、新規参加者に門戸がまだ広く開いている。
共同入札の内容を具体化するのに時間がかかるため、長崎県がIR事業者を選定するのは、国の政策タイムラインに変更がない限り今年の秋となる。
平田氏は、500ドットコム社に関した汚職事件は長崎のような地方自治体にとって、不都合で一般市民のIR開発に対する不安を増したことを認めた。この事件により一般市民に県内のイニシアティブを説明することがより一層困難でより一層必要となった。
国家政策の方向性における不確定も懸念材料である。IRライセンス付与のタイムラインが汚職事件やそのほかの要素により先送りされたら、地方自治体にも大きな影響を及ぼすでしょう。インフラ整備の予定などにその影響が特に大きいと考えられる。
インフラ整備プロジェクトといえば、特に面白いのは大村湾の島に位置する長崎空港と同じ水路にあるハウステンボス地域を繋げる高速客船の定期便を開発する計画である。平田氏によるとIR誘致が前進すれば、IR事業者コンソーシアム自体が定期便を運営する可能性もあるが、必須条件となるわけではない。
これからの数ヵ月に、長崎県は事業計画を公募し、IR事業者パートナーを選定するための第三者で構成した委員会を設立する。平田氏は政府がしっかりした計画を見る目があると信じ、日本の西にある小さな長崎県に勝算があると考えている。(AGB Nippon)