元内閣府副大臣で衆議院議員の秋元司容疑者の二度目の逮捕により、500ドットコムの汚職事件が再び話題になっている。しかし、検察側の今までの行動不足は日本IRの未来についてさらに疑問を投げかけることになっている。
秋元議員が2月に釈放された旨の報道後、500ドットコム事件は数ヶ月間沈静化していた。これは新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミック対応が政府および国民の最優先事項になっていたからだ。
だが今月初めに物事が劇的に動く。東京の検察が3人のビジネスマンを証人等買収容疑で逮捕した。逮捕された3人は賄賂側に、秋元議員へ賄賂が渡されたとされている2017年9月28日の面会自体が無かった旨のうその証言を依頼したとされている。
報道によると、逮捕された中心人物の淡路明人容疑者は秋元議員や安倍昭恵夫人ともつながりが深く、秋元議員の2月の釈放以降も繰り返し議員を訪問していた。検察は現在、証人に偽証を持ち掛けるよう依頼した可能性があるとして、秋元議員を起訴する方向で進めている。
とはいえ、検察側が今回も不当にメディアに漏洩している捜査の詳細が驚くべきものであるならば、今まで放置したままの事柄にもさらに注意を向けるべきである。
その一番の例として、先月、秋元議員の身近の存在である白須賀貴樹議員が、2017年12月に深センとマカオを訪問した際、500ドットコムから100万円の賄賂を受け取ったことを認めたと報じられた。しかし、白須賀議員は、検察側がマスコミ関係者に説明したように、IR政策に対する権限はなかったため、立件は見送られた。
一度立ち止まってこの論理的根拠を見直してみる必要がある。
白須賀議員は容疑を認めている。 2017年12月の深センとマカオのツアー中に、500ドットコムのエージェントが日本でIRライセンスを取得するために何らかの支援を期待して現金賄賂を白須賀議員に渡した。白須賀議員はその現金を受け取り、数年もの間、秘密にしていた。しかし、500ドットコム幹部が白須賀議員からなにらかの支援をもらえると誤解していたことにより、検察側は立件を見送った。
たとえその議員が特定の支援を提供する立場にいないと検察が考えていても、議員が民間企業のビジネスマンから現金賄賂を受け取る行為は日本では犯罪ではないのか。選挙で選ばれた議員が海外旅行中に外国の会社から賄賂として現金袋を受け入れることは合法なのか。どうやら、東京の検察官はそれについて疑問を抱いていないようだ。
そして、話は白須賀議員にとどまらず、賄賂側の 1人の容疑者は、500ドットコムを代表して日本のIR推進派の岩屋毅前国防相を含む5人の議員に賄賂を贈ったと検察に告げたと伝えられている。彼のリストにあった5人の議員のうち2人は後に賄賂を受け取った事実を認めたが、いずれも立件は見送られた。
したがって、安倍晋三が率いる日本では、議員が賄賂を受け取ることはしばしば許容されているといっても過言ではない。与党はそれらを追及せず、検察官は最も有罪である首謀者とみなされない限り罰することはない。
この傾向は日本の政界を見渡してみると、与党議員の河井克行・杏里夫妻の件でも明らかだ。検察はこの選挙法違反事件で河井夫妻を追っているが、広島県で賄賂を受け取った数十人の保守派政治家たちは制裁に直面していない。関西電力の最近の原子力業界の贈収賄スキャンダルについても同様。数十人の企業幹部が地方自治体の役人から賄賂を受け取ったことを認めているが、検察側は動くことはない。
日本のIR整備を振り返ってみると、これは、この国で数十億ドルを費やそうとする外国投資家が心配すべき事柄である。日本は多くの点で先進工業国だが、その法制度は日常的にその責任を果たしていない。
そして、日本国民のほとんどが、IR業界は単なる腐敗の新たな原因にしかならないと想定するのであれば、この懐疑論を抱く理由は多く存在するのかもしれない。(AGB Nippon)