長崎県は依然として日本IR競争において最高レベルの管理能力を示しており、区域認定の可能性も非常に高くなっている。
特に地域政治の功績が目立つ。長崎IRは地元行政の賛同および九州地域の知事の協地を得ている上に地元世論からの反発もそれほど強いものではない。実情を捉えるアンケートデータは少ないが、地元住民の多くがIR誘致に賛成している可能性も大いにある。
最近のニュースでは、長崎の事業者公募には5つのコンソーシアムが応募したことが判明し、これにより国への区域認定計画申請に向けて適切なビジネスパートナーが選定されることが確実ともいえる。
地方市場として有名な大手事業者の応募はなかったが、それでも今回の公募に参加したコンソーシアムを整理してみる。
カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン(Casinos Austria International Japan)は2018年11月に早くも長崎IRの入札意向を表明していた。同社にとっては初のアジア進出に向けての挑戦となるが、ヨーロッパ市場では国営事業者として実績を持つ。また、同社は2年前の取材ではクラシカル音楽や医療ケアなどのテーマを掲げていた。
カレント・グループ(Current Group)のコンソーシアムには、最新の情報ではカレント・コーポレーション(Current Corporation)、ゲット・ナイス・ホールディングス(Get Nice Holdings)、ソフィテル・マカオ(Sofitel Macau)とサクセス・ユニバース(Success Universe)が含まれている。2019年には50億米ドル(約5280億円)の投資をする準備があると指南した。
二期&チャウフー(パークビュー)グループ(The NIKI & Chyau Fwu (Parkview) Group)は日本と台湾の企業が協力し、新たにIR競争へ参入した。同グループは「佐世保市の九州・長崎IRを中心とし、そこから最先端技術を駆使した大村湾のスーパー・スマート・コミュニティの実現へと広げることを提案します」とテーマを掲げている。現在も九州圏ではコンソーシアムに参画する企業を探している模様。
ワンキュウシュウ(One Kyushu)のコンソーシアムにはTTLリゾーツ(TTL Resorts)、ピクセルカンパニーズ(Pixel Companyz)、フランスのグループ・パルトゥーシュ(Groupe Partouche)が参画している。ピクセルカンパニーズ代表取締役社長の吉田弘明氏は以前、長崎県の離島を活用するIR開発を計画していた。
オシドリ・グループ(Oshidori Group)は香港で上場しているオシドリ・インターナショナル・デベロプメント(Oshidori International Development)と北米の先住民カジノ事業者のモヒガン・ゲーミング&エンターテイメント(Mohegan Gaming & Entertainment)が力を合わせる。オシドリは以前から長崎県にコミットしていたが、モヒガンとの提携は力強い。モヒガンは以前、北海道苫小牧市でのIR開発を目論んでいたが、北海道の鈴木直道知事がIR整備を見送っため断念した。
コンソーシアム間の激しい競争が予想され、長崎県としては観光資源の活用方法など多くのアイディアを聞く機会があることはプラス材料になる。(AGB Nippon)