内容薄い横浜IRのメッセージ:「アフターコロナ」

林文子市長陣営は横浜市民にIR誘致をアピールしようと動き出しているが、効果的な広報活動からほど遠い内容になっている。

市は「横浜イノベーションIR」のキャッチコピーを使い、基本的な情報をホームページに載せている。ソーシャルメディアではFacebookのみに専用ページを開設しているが、人口375万人の大都市ながら我々を含めて、158人のフォロワーしかいない。

特に注目を集める理由もないのがさらに残念である。配信されている内容の薄いメッセージは、地元行政がコミッティーとして用心深く制作されているに違い。

日本の行政や大手企業の広報活動は普段から有益な情報やエンターテイメント性に欠けているが、これもいい例となる。

内容の充実よりも、失敗や批判を恐れている部分が目立つ。

市職員は上長から予算を与えられ、広報キャンペーンを始めるように命じられているはずだが、その作業には責任を持つことなく、熱意を込めずに常に安全なやり方で進められている。

最新の投稿には横浜の平原敏英副市長と慶応義塾大学の岸博幸教授の対談がアップされているが、教授が語るIRが必要となる理由は今までずっと言われ続けてきた基本的な内容であり、学術的な地位を持った人物が話している以外は新しい要素がない。

しいて言うのであれば、IRは今後「アフターコロナ」を鑑みて経済を活性化させるためには重要である話は今までの話の中では出てこなかった内容である。

しかし今まで投稿されてきたコンテンツにはそれ以外は先進的なアイディアは出ていない。当初の高齢化社会に向けてIRは経済成長には欠かせない政策であるというメッセージから、コロナの影響は大きかったためIRは経済の成長に必要であるという話にすり替わっている。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、今まで5年以上も議論されてきたIRの必要性に何か変更や修正はあるのかなど、具体的な情報は見当たらない。

また、市民が心配するギャンブルに関連する問題は特に進展をみせていない。今でもIR整備法の入場規制などの項目をいくつかあげることしかできていない。これらには医学的な根拠があるとは言い辛い。

それでもなお教授はこれらの規制を「厳しい」ものであると断言し、平原副市長も「世界最高水準」の規制と絶賛する。この言葉は日本政府がよく原発に関しても使う言葉で、何かの研究結果に基づくものよりは日本人の性質に対する思い込みの要素が伺えられる。

横浜市は今、何かが世界レベルと言う前に自らの活動を全方位的に改善しなければならない。

キーワードをいくつか並べるだけでは何も達成できない。

新しい課題やチャレンジにどう対応しているのかをみせる必要がある。

もし名門大学の教授を使って横浜にとってアフターコロナでIRは必要であるとアピールするのであれば、食べたい食事やモールとカジノ以外に大事に話はあったのではないか。

横浜市民は今、食事のオプションに苦しんでいる訳では無い。

今の横浜は反対意見に対して真剣に取り組んでいる様子はなく、むしろその反対である。市民の反対を行政の地位で抑え込み、深く考えずに手順のこなしているに過ぎない。(AGB Nippon)