サンシティ·グループ(Suncity Group)がIR事業者公募から撤退を表明し、和歌山県のIR誘致が突如窮地に追い込まれた。
いまだに理由は発表されないまま遅延が続く和歌山県の事業者公募の応募者が遂に1社に絞られる形となった。また、この残り1者であるクレアベスト·グループ(Clairvest Group)は成功する見込みがある事業計画を提出しているかどうかも分からないことは不安要素である。
事実としてクレアベストはこの1年間、複数の匿名パートナーを含めた入札を統率することを計画していたが、その戦略がどこまで進んでいてどのような味方がついているのかも公表されていない。
いずれにしても二つのシナリオが考えられる。大阪と同じく応募者が1者になったことにより競争力が失われたまま公募を続けるのか、今回の事業者公募自体が崩壊するのか。
どの方向に進んでも和歌山が描いていたマリナシティIRに対する期待が薄れてきている。
サンシティが撤退を表明するまでは人目を引く活動を続けていた。
昨年9月には和歌山市内に事務所を置き、地域のサポートを得るために地元のバスケットボールの和歌山トライアンズの公式スポンサーとなり、ヨットクラブなどとも積極的に連携していた。
サンシティのアルヴィン·チャウ会長(Alvin Chau)は同社の日本語ホームページに「新型コロナウイルス感染拡大による業界への甚大な影響と、世界中の膨大な数の企業における不確実性は今後も長期にわたり続く恐れがあること、また日本のIR区域認定手続においては、当初の予定よりも大幅に時間を要すると想定される中で、未だに多くの事柄が不透明であることなど、事業者としてのリスクを鑑み、熟考の上で厳しい決断をするに至りました」とコメントを残した。
今回の判断は急であったことは確かである。今月1日、サンシティ·グループ·ホールディングス·ジャパン代表取締役の大原義勝氏は「わかやまIR推進協議会」の総会にて同社を公の場でアピールしていたばかりだった。
同社は以前から顧客ベースである中国人観光客に人気な日本の観光地に注目していた。
2019年に同社は40棟のプール付き別荘と100室以上のホテルを含むノン·ゲーミング·リゾートを沖縄の宮古島で開発する計画を明かし、既に土地は購入している。日本を訪れる中国人観光客の増加とみやこ下地島空港の直行便の開始に伴い、中国から東アジアへ同社の観光事業を拡大する絶好機であると説明した。
サンシティの和歌山IRからの撤退は、和歌山県が自ら掲げたスケジュールに遅れが出ている理由になっていたのかもしれない。
今後注目するべきポイントは、クレアベストが最終的に勝者となるのか、和歌山県がIR誘致を諦めるか、またはこの両極端の中間に物事が進むのかである。(AGB Nippon)