シンガポール、7400億円の投資でIR拡張へ

シンガポール政府は3日、IR開業以来初めての大型拡張を認めると発表した。国内2つのIRを運営するラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands)およびゲンティン・シンガポール(Genting Singapore)はゲーミング以外の施設のために合計90億シンガポールドル(約7400億円)を投資する。一方、カジノ収益に課される税率と自国民のカジノ入場料が引か上げられる。

2社とも日本でのIRライセンス取得に向けて動き出している。

シンガポールの通商産業省と財務省が3日に発表した声明によると、2社による投資は5000以上の雇用機会を生みだし、訪問者の50万人増加が期待できる。

今回の拡張用追加投資額は、2006年に2社が行った初期投資の3分の2にも及ぶ。そのため政府はこの追加投資を条件に、2社のIRの独占運営ライセンス期間を2030年まで延長する。

また、カジノのフロア面積の拡大とゲーミング機の増加も認められる。マリナベイ・サンズ(Marina Bay Sands)は2000平方メートルのカジノ面積拡大、ゲーミング機数の2500から3500への増加が可能になる。リゾーツ・ワールド・セントーサ(Resorts World Sentosa)は500平方メートルのカジノ面積拡大、ゲーミング機800台の増加が可能になる。

政府はこの点に関して、追加投資によりカジノ以外の施設面積がより多く増えるため、IR全体でカジノが占める面積は現在の3.1%から2.3%へ下がると強調した。

しかしIR事業者にとって痛手もある。本日付で自国民のカジノ入場料が50%増加され、現在の約8000円から約1万2000円に引き上げられる。

また、現行の課税猶予期間が終了する2022年2月には増税が行われる。

拡張案の一部では、ラスベガス・サンズは約3700億円分の投資を1万5000人収容アリーナ、1000室規模の高級タワーホテルおよびMICE施設の拡張に充てる。タワーホテルにはプールとレストランが特徴となるスカイルーフを建てる。マリナベイ・サンズを手掛けたモシェ・サフディ氏(Moshe Safdie)およびアエデスとゲンスラー社が新たなビルの設計チームに加わる予定。

リゾーツ・ワールド・セントーサはユニバーサル・スタジオ・シンガポールに「ミニオン・パーク」と「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の2つの新エリアを建設する。また、S.E.A水族館(S.E.A. Aquarium)は隣接する「ザ・マリタイム・エクスペリエンシャル・ミュージアム(The Maritime Experience Museum)」を吸収する形で拡張され、新たに「シンガポール海洋水族館(Singapore Oceanarium)」に改名する。現在のウォーターフロント・プロムナードを再開発し、無料で鑑賞できるナイト・ショーを開催し、イベントやお祭りなどに使用される多目的広場を追加する。さらに2つのホテルを増やし、既存のセントラル・ゾーンを拡張することにより全体のホテル部屋数も1100室増える。(AGB)