輝きを失い始めた大阪IR計画

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2025年世界博覧会主催が決定した昨年11月から横浜がIR誘致レースへの参加を表明した今年8月まで、大阪・夢洲は日本で最も壮大で成功が確約されたIRが開発されると思われていた。しかし、ここ数か月で大阪IRのイニシアチブはその輝きを失いかけており、国内市場の二番手に甘んじることも現実味を帯びてきた。

横浜や関東地域の自治体がIR誘致に動くこと自体は驚きではないが、正式に手をあげる可能性が低いと言われていた期間は長かった。しかし、ラスベガスサンズ、メルコリゾーツ&エンターテインメント、およびウィン・リゾーツの大手3社が関西市場への入札を放棄した。国際的IR事業者たちの最近の反応は、大阪を落胆させているに違いない。

大阪撤退の根拠を尋ねられたサンズの代表者は、同社の業績報告でロバート・ゴールドスタイン社長兼最高執行責任者(Robert Goldstein)が10月23日に残した声明を指した。「私たちは大阪を見て、素晴らしい市場、素晴らしい街だと思っています。そこでは素晴らしい経験をしました。しかし、最終的に私たちの強みと感じている部分、そして私たちが今まで残してきた実績は東京湾地域の横浜でこそ表現できる機会だと感じました。そしてご存知のように、非常に競争が激しい市場です。非常に興味深い市場であり、多くの資本が必要であり、満足できる費用対効果を確認するには多くの思考プロセスがあります。結果的には横浜が私たちの能力により適していると考えました。」

明確な説明ではなかったが、競合他社、資本投資、および費用対効果などが主な理由であったと読み取れ、サンズは大阪・夢洲の候補地に対する投資収益率に懸念を持っていたことが示された。

大阪撤退に関する問い合わせに対して、更に曖昧な答えを出したのがウィン・リゾーツだった。2025年世界博覧会前の開業に向けての動きが撤退の要因であるかというAGB Nipponの問いに対して、ウィン・リゾーツ・デベロップメント・ジャパンのクリス・ゴードン社長(Chris Gordon)は次のように答えた。「大阪のIR開発プロセスの管理には感銘を受け続けています。タイムラインとしてはアグレッシブですが、大阪がIRプロジェクトを速いペースで進めようとしていることは理解でき、賞賛に値します。」

メルコのであるローレンス・ホー会長兼最高経営責任者(Lawrence Ho)は、AGB Nipponに最も率直で具体的な理由を提供した。「私の目標は、世界最高の統合型リゾートを建てることであり、横浜は東京や羽田(空港)が近いことから最善の機会を与えてくれます。大阪に関連する問題の真実を言いますと、殆どの競合他社とは異なり、IR事業者として私たちは『約束は控えめに、結果は期待以上に』を望みます。インフラの課題、建設労働力の不足、および非常にタイトな時間軸を考えると、2025年にオープンすると発言するのは『誤り』になると思っています。」

これら3社の回答、特にローレンス・ホー氏の回答から、主要IR事業者が大阪の入札から手を引いた要因のいくつかが明確になってくる。

関東と比較して関西市場の規模が小さいこと、夢洲の候補地の投資収益率への懸念、夢洲に繋がる交通インフラへの懸念、大阪府市の野心的な建設スケジュールが非現実的である懸念。また、オリックス・コーポレーションと提携し、すでに非常に壮大な約束をしてきたMGMリゾーツの入札を上回るほどの市場価値を感じていない事も間接的に読み取れます。

つい最近、大阪の松井一郎市長は、2025年世界博覧会前に夢洲IRを完全に開業するというハードルは高過ぎであると認め始めているが、目標としては放棄しておらず、府市は建設のタイムラインを迅速化するためにあらゆる政策措置を講じている。

しかし、このやり方は最終的に逆効果に繋がる兆候が見え始めている。 仮に2020年代後半に横浜にも大規模なIRが実際にオープンした場合、夢洲IRを急いで建てることに焦点を当てるのではなく、大阪の最善の戦略は「正しいやり方」で建てることになるかもしれない。大阪IRの長期的な開発目標を達成するためには、関東のIRよりも優れた、または異なる何かを提供する施設にしなければならない。(AGB Nippon)