フィリピンへのカジノ目的の中国人渡航、政治に左右される

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ブルームバーグのアナリストであるマーガレット・ハン氏(Margaret Huang)はフィリピンのフィルスター(Philstar)のインタビューにて、中国人の訪問者数増加が見られたフィリピンの大盛況のカジノ産業に政治的なリスクが重くのしかかる可能性があると指摘した。

過去1年間で、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が中国人訪問者のビザ・プロセスを緩和し、中国との外交努力を推し進めたことで、これまで以上に中国からのフィリピン渡航者数が増大した。

移民局からフィルスターに提供されたデータによると、2016年1月から2018年5月にかけて310万人の中国籍の人々がフィリピンに渡航しており、2018年の1~5月の5か月間だけでも既に71万7638人がフィリピンを訪れているそうである。

「中国人ギャンブラーがフィリピンを訪れる理由の1つとして、ビザ要件の緩和が挙げられます。中国人であれば、到着時にビザを取得することができますし、さらに多くの航空会社も就航するようになっています」と、ハン氏は話している。また、「この流れが途絶えてしまえば、中国人はマカオに行ってしまうため、彼らにとってフィリピンを訪れる魅力は色褪せてしまうでしょう」と付け加えている。

ハン氏は、フィリピンがマカオと比べ、政府による監視が穏やかであることが、フィリピンを訪れる中国人ギャンブラー増の要因の1つになっていると述べている。フィリピン国内により魅力的なシステムを導入することが、さらなる中国人渡航者の増大につながると考えられる。「また、マカオにおける中国人の大口の上級ギャンブラーは、マカオと比べて賭け金が少ないことから、フィリピンを訪れることでVIP客としての扱いを受けることができます」と話している。

さらに、「飲食店の経営者も、大口の上級ギャンブラーを対象に、VIP体験を提供する傾向が見られます」と付け加えている。

しかし、フィリピンがマカオの収益規模に追いつけるようになるには、まだまだ長い道のりが待ち受けている点を強調している。「マカオは中国と強く同化していることからも、上級ギャンブラーにとって最大のギャンブル提供場所です。マカオの収益成長の継続的な伸びは中国大陸とのつながりに大きく左右されるため、フィリピンと比べること自体に無理があります」と話している。

ハン氏は、フィリピンには中国からの大口の上級ギャンブラーを呼び込むだけの潜在性は十分にあるものの、成功にあたってはフィリピンのカジノ規制枠組みに大きく委ねられることになると述べている。

また、同氏は、「フィリピンのアミューズメントとゲーミング管理公社(PAGCOR = パグコア)は運営者と監視官の双方というよりも、規制面に焦点を合わせる必要があります」と付け加えている。(AGB)