横浜がいない日本のIRレースを考えてみる

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現時点では横浜市が日本のIRレースが脱落したわけではないが、ここ一週間の出来事を考慮すると現実的な結果になっている。そのため、横浜が撤退したシナリオを考えてみるとする。

まずは日本のIR市場は最初の10年間、当初の予定よりは遥かに小さい規模になることは確実になる。

そしてもし大阪、長崎、和歌山の残る3つの自治体が全て区域認定を取得した場合、大都市が一か所、地方型が2か所となり、日本のIRは全て西日本に集中する。

MGMリゾーツの社長兼代表取締役のビル・ホーンバックル氏(Bill Hornbuckle)は最近、大都市型の大阪はいずれか50億米ドル(約5540億円)規模のGGR(ゲーミング粗利益)を生む市場なると推定した。それ以上の詳細は説明しなかったが、開業直後ではなく、一定期間が経ってからの数字であることを示唆した。

長崎と和歌山においては合わせてその半分ほどのGGRを想定すると、日本のIR産業は年間100億ドル(約1兆1000億円)規模の市場に成長することになる。

新型コロナウイルスに世界規模のパンデミック前のマカオは2019年、360億米ドル(約3兆9900億円)のGGRを記録した。

もちろんホーンバックル氏はIRの区域認定は2か所にしか与えられないと予想し、話の内容からは横浜と大阪を指していたと読み取れる。同氏の発言には長崎と和歌山はノン・ゲーミング施設などの国の要件を満たすことに苦労するという意味が込められているように聞こえる。

もしホーンバックル氏が地方のIR誘致が実現出来ないという勝手な予想が当たるとすれば、大阪におけるMGMとオリックスのプロジェクトは少なくともこの2020年代唯一のIRとなり、日本市場も5540億円規模が天井となる。

このようなシナリオが今後数カ月起きたとすると、政府は二つの大きな選択肢がある。

一つはこのまま20年代に規模が小さいIR市場を開発し、国民にIRのコンセプトが成功することを見せつけてから2030年代にさらに拡大を図る。

二つ目は現在のIR認定プロセスを中断し、現状を見直してから問題を探し、シンガポールのような国際市場から学びながら適切な修正を行うこと。

特に重要なのは国民の殆どがIR政策に反対していることであり、与党として自由民主党は批判を無視しながらIR政策を強引に押し通すやりかたはこの反対の声を覆すには足りないことに気づかなければならない。

まずはギャンブル依存症に対する国による明確な骨子から始めるのも一つの手法である。与党側はこの大事な対策に対する無関心な姿勢は反カジノ勢力の懸念を拡大させているのは明らかである。IR整備の行方はさておき、日本にとって有意義な事柄なのは間違いない。

管理体制に関しても多くの改善が必要であり、カジノ管理委員会が設立された今、政策の改良を目的としたシンクタンクという役割を与えることもできる。

横浜はまだIR誘致を進めているが、脱落の危機に至っている時点で考えを改める必要がある警報になるべきである。(AGB Nippon)