横浜の反カジノ運動が躓く

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Yokohama
8月22日に行われる横浜の市長選でこのシナリオを想像してみる:出口調査では殆どの有権者がIRに懸念を抱き、賛成より反対意見が2倍という状況ながらふたを開けてみればIR推進派の林文子市長が再選を果たす。
立憲民主党を筆頭に野党側の政策運営能力の欠如により、このシナリオは日に日に現実味が増している。
現時点では8人の候補の中に6人が反IRという立場を明確にしている。

そのうち4人の太田正孝氏、藤村晃子氏、福田峰之氏、坪倉良和氏は街頭演説で善戦しない限りは脇役になる。

激戦を繰り広げるのが現職の林文子氏、小此木八郎氏、山中竹春氏、そして田中康夫氏とみられる。
しかし小此木氏、山中氏、田中氏の3人が反IRの立場をとっているため、林市長は再選に向けてIR推進派勢力を独り占めしている。横浜商工会議所と与党の自民党神奈川県連の一部は支援に回ることも予想される。現状の候補者を並べてみると再選の勝機は十分にある。
この事態は立憲民主党を軸に反IR勢力のリーダーシップ不足を吐露している。
しかしこの事態も予想できたのかもしれない。最初に市長選に正式出馬したのは横浜市議会議員で立憲民主党の太田正孝氏だった。通常、出馬の時点で党の連盟などが支援をしはじめるか、またはより高い勝算が見込める候補のために出馬を取り消すように要請することも出来た。しかし立憲は動かなかった。
それから二か月後、やっとのことで江田憲司氏および阿部知子氏により候補者をたてる組織が設立された。当初は4月末までに候補を立てるとしていたが、市民団体のアピールもむなしく3ヶ月後の6月半ばまで時間を費やした。そして結果としては政治経験を持たない大学教授を推薦候補に指名した。
山中氏の選挙能力は未知数でありながら、期待されている力量と能力を発揮出来れば勝算もある。ただし、本来は数ヶ月早く出馬を表明し、知名度アップを図ることが出来なかったのが痛手となる。
田中康夫氏の出馬表明も立憲側からすると誤算ともいえる。元長野県知事で全国的な知名度を誇るため、数カ月早く出馬への意欲を示していれば反IR勢力が後押しに回った可能性もある。
これも不思議な事態ではある。田中氏は出馬への意欲を語りながら立憲に断られたのか、またはその逆か。それか要請されないまま時間が経ってしまっただけなのか。それとも混戦の中における山中氏の可能性が低いと思い最後の最後に判断したのか。理由はともあれ結果としては立憲民主党の誤算になってしまっている。
だがしかし、公安委員長の小此木氏が突如市長選に出馬したことは立憲民主党でも読めなかったはずだ。まさか菅政権を離れ、党が掲げるIR政策を注視させる公約で出馬するとだれもが予想できなかった意外な展開だった。
また、小此木氏は政治地盤を固めないまま出馬したことも思いがけない動きだった。IRを推進してきた自民党神奈川県連からは造反者扱いを受け、地元政界と経済界の支援が林氏に回る道筋を開いたようにもみえる
結論として、立憲民主党などの反IR勢は大きなチャンスを逃した。一人の候補者の支援に回り、反IRを掲げる候補者を同じことを望む市民の関心とサポートを得るのではなく、反IRの立場を持つ複数の候補者に票が割れ、最終的には選挙ではどれも当選しないシナリオを作ってしまった。
林氏が再選すればIR誘致は継続されるが、地元民の多くは不満を持ち続ける結果となる。(AGB Nippon)