「ハマのドン」、部分的引退を

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「ハマのドン」は大きな決断をしたが、それが何を意味するのか判明するのに数週間もしくは数か月間かかるかもしれない。

藤木幸夫氏は23年にわたり権力を握ってきた横浜港運協会の会長を退任した。

退任について「8月で90歳になる。身を引いて新しい体制をつくってもらう」と述べた。

しかし、後任の会長には長男である藤木幸太氏が就任することになり、藤木幸雄氏も相談役として残るため権力の手綱を完全に離したとは言えない。

藤木氏はここ数年間、山下ふ頭におけるIR開発に反対している最も影響力のある声であるため、政治界もメディア界も彼の引退を注目している。

藤木氏は語気の強い言葉で反対を表し、今まで以下のような意見を述べている:

「ギャンブルはくせになる。海外のカジノの周辺では、自殺者もいるという。『ギャンブル依存症』と表記するのは、まだきれいな表現だと思う。これは本当の『悲劇』だ」

「海外企業に金が落ちるだけで依存症の深刻な問題があり、街が衰退する… どんなに金を積まれてもカジノは駄目だ」

「国はカジノ以外のMICE施設は採算が合わないというが、地域経済振興の観点から考えても横浜にカジノの必要性は全くない」

「市民が納得していないIR・カジノを山下ふ頭で行うことなど到底受け入れられない」

「ここはわれわれ港湾人の聖地であり、博打場にしない… 自分がやるべきことは山下ふ頭を守ること。きれいな港を将来の子どもに残すことが私の願い」

こうやってIR開発に激しく反対している藤木氏は、2019年4月に山下ふ頭におけるカジノのない横浜港ハーバーリゾート構想を提案するための協会を立ち上げた。

藤木氏が退任すると発表した役職には横浜港ハーバーリゾート協会が含まれていないことが注目に値する。90歳の誕生日を迎えてもこの協会を先導するつもりでいるようだ。

神奈川新聞の記事から解釈できるのは、藤木氏が退任したことにより、横浜市のIR誘致計画撤回に注力するための余裕が出来たと考えられる。

その一方、退任を発表した記者会見では「カジノに関してのすべての考えは発信し終わりました。今出ているデータで一人一人がカジノはやるべきかやるべきじゃないか自分に聞けば返事が出ます」という少々謎めいたコメントを残している。

横浜で大きな影響力を持つ藤木氏でも、去年の林文子市長のIR誘致表明を止めることができなかった。林市長が今に多くの市民のIR反対を押し切ろうとしているように、藤木氏の反対も押し切ったのだ。

新聞ではこのような文脈で名前を見かけることがあまりないが、IR賛成の静かなもう一人の「ハマのドン」が存在すると考えるアナリストもる。その「ドン」とは、菅義偉官房長官のことである。(AGB Nippon)