中国からの資本流入に対する反発を背景に、ベトナムとカンボジアの両国で大規模デモが勃発している。しかし、両国のゲーミング市場はその影響を受けることはなく、市場はプラスの見通しとされている。
大規模デモは、経済特区の設置が予定されているベトナム内の3つの経済圏、中央、北部のバンドン(Van Don)、南部のフーコック島(Phu Quoc)が中心とされている。バンドンとフーコック島には、地元民のカジノ入場が許可される初のIRが開発中である。
大規模デモの結果、少なくとも8人が逮捕されている。この騒動は、外国投資企業に99年の土地リースを可能にするといった計画が明るみになったことが大きな影響を与えた。地方自治体は、ベトナムが中国の投資家によって支配されることを恐れているのだ。
カンボジアでは、シアヌークビル(Sihanoukvile)を中心として不満が高まっている。この地域は、中国人投資家の流入により、場所によっては賃料が約5倍~10倍上昇にも上昇した。中国人投資家による高水準の投資も価格を押し上げる要因となり、不動産バブルの恐れを生み出している。また、シアヌークビルの工事現場に流入した中国人労働者が、地元住民の雇用を奪っているという怒りを買い、抗議運動への緊張感が強まっている。
ベトナム国会では、経済特区案に対する投票を今年10月まで延期し、より慎重に対応している。
コンサルティング会社iGamiXの マネージングパートナーであるベン・リー氏(Ben Lee)は、両国のゲーミング市場に関して、地元からの投資が大半である 。ヴァン・キャピタル(Vin Capital)はフーコック島におけるIRライセンスを保有しているほか、サン・グループ(Sun Group)はバンドンでのIRライセンスを保有している。香港上場企業であるサン・シティグループ(Suncity Group)は、バンドンでのマネジメント契約を締結しているのみである。
リー氏は、バンドンには中国のお金はないと述べた。またリー氏は、政府がリースの上限を50〜70年に設定した以前の提案に戻す可能性が高いとしているが、定かではないとの見解も示している。
この騒動の影響はいまだ不明確であり、デモの一方、中国からの観光客数は急増している。政府発表の数値によると、1月から5月までの入国者は27%(前年比)増加した。そのうち、中国からの入国者は37%(前年比)増加したという。 (AGB)