マサチューセッツ州の規制機関は、ウィン・リゾーツ(Wynn Resorts)が創業者であるスティーブ・ウィン氏(Steve Wynn)に対する性的違法行為疑惑に対応した際、自社の方針に従い損ね、場合によっては疑惑を隠蔽したこともあると主張した。
この結果はマサチューセッツ州ゲーミング・コミッション(Massachusetts Gaming Commission)の調査・執行局(Investigations and Enforcement Bureau = IEB)が行った調査のレポートで公開された。調査は、ウィンが26億米ドル(約2800億円)規模のアンコール・ボストン・ハーバー(Encore Boston Harbor)IRのカジノ・ライセンスを保有する適法性を確認するためのものである。
ゲーミング・コミッションは4月2日から三日間にわたる公聴会を開いた。ウィンが厳しい競争の中で日本のカジノ・ライセンスを目指しているため、同レポートが公開されたタイミングが不都合と言える。
レポートは「IEBの調査により、数年にわたり権限を持った一定数の役員と社員がウィン氏に対する性的違法行為疑惑を知りながら、その性的違法行為の対応にあたって会社の方針を無視したことが明らかになった」と述べ「また、社外の弁護士の進言により、特定の役員がウィン氏に対する疑惑を隠すための働きに協力したことが明らかになった 」 とさらに続いた。
今後、ウィンが以前に受けたボストン・ハーバーIR経営に関する推薦を覆すかどうか規制機関により検討される。調査レポートでは、ライセンスが与えられた2014年の前からウィンの役員が性的違法行為疑惑を知っていたのにその事実を明かさなかったことも書かれている。
しかし、ウィン氏が2018年の初めに辞任し、疑惑が明らかになってからウィン・リゾーツの経営と役員会が大いに見直されたことも同レポートで指摘された。元々の11人の中で、現職の社長兼最高経営責任者であるマット・マドックス氏(Matt Maddox)と大株主のエレイン・ウィン氏 (Elaine Wynn)しか残っていない。
レポートの結論としては、ウィンの経済的な適合性に支障はないという結果となった。
しかし、見直しをしたとはいえ、コーポレート・ガバナンスにおける不行き届きは重大かつ繰り返したものであり、規制機関はレポートの内容をを勘案して「会社全体の対応をみて評価すべき」とのこと。(AGB)