中国がアウトバウンド観光と日本IRまでも武器化

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中国政府は今週、アジアのカジノ産業が存在する国へのアウトバウンド観光を一種の政治的な武器にする意図を明確にした。この事実は日本のIR開発の将来を熟考する際、政策立案者は特に懸念すべき傾向である。

中国の文化観光部は、外国のギャンブルが可能になっている観光地の一部に対してブラックリスト・システムを導入し、指定された国に旅行する中国国民に旅行制限を課すと公示で述べている。

同部は、「海外都市のカジノは、中国人観光客をギャンブルするために海外に引き寄せ、中国のアウトバウンド観光市場の秩序を乱し、中国国民の不動産や個人財産の安全を脅かしている」と説明した。

中国政府がこのようなアプローチを検討するのは今回の公示が初めてではない。数年前にも韓国が終末高高度防衛(THAAD)ミサイルの防衛システムを装備するという決定を行った後、中国政府は韓国への観光客の流入を阻止する動きを取り、結果的には韓国のカジノ業界に深刻な影響を与えた。

日本も同様の処置による影響を無視するわけにはいかない。 東アジアの大国同士の間にある継続的な競争と未解決のままである歴史的な問題を考慮すると、日本のIRにも中国のブラックリスト政策が採用される可能性は大いにある。

この問題は安倍政権と国際的なIR事業者の間に存在する矛盾や感覚の違いを浮き彫りにしたともいえる。

企業観点からすると、市場としての日本の魅力は、主に日本の国民にあった。これは、中産階級の充実、巨大な人口集中センターの存在、およびギャンブルやその他の娯楽に励む傾向がある国であるから。おそらく事業者側は収入の80%以上が地元日本の訪問者からのものになると計算している。

そして現在の状況ではこの戦略をもっているのであれば良いことになる。中国からの観光客の流れが減ったと時、韓国のゲーミング業界がひどく苦しんだ主な理由は、1カ所を除いて国内のカジノには外国人しか入場できないからであった。北京がアウトバウンド観光を武器にしようとした場合、日本のIRにも悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しているが、主要な収入源である日本人の顧客を奪うことできない。

一方で、安倍政権はこれらの経済的実態について決して率直ではなく、主にインバウンド観光のさらなる成長の原動力として、外国人観光客の滞在中の浪費レベルを上げる手段としてIRを描写してきた。しかし、カジノの常連客のほとんどが日本人である可能性が高いことは今まで重視していない。

外国人観光客は世界中から来日するが、通常の状況下では大多数は中国本土と香港から訪れる。そのため、ブラックリスト政策の影響は受けやすくなる。

もちろん、このような政策が日本のカジノで大金を使う中国人富裕層の観光客を誘致するリスクを心配する前に、日本政府は独自の規制問題を修正する必要がある。ラスベガス・サンズの会長兼CEOであるシェルドン・アデルソン氏(Sheldon Adelson)が最近指摘したように、現在、日本はカジノで勝ったプレイヤーから強引な課税政策を通じてVIP市場を追い払う可能性が高いと思われる。

しかし、日本が中国の富裕層の訪日観光客にたいして、魅力的な提案を生み出すことができたとすれば、ブラックリスト政策は懸念として残る。

現在、中国と米国の間の緊張状態は、ファーウェイやティックトックをめぐる論争などを通じて繰り広げられているが、残念ながらすぐに解消される可能性は高くない。

日本にとっては多くの影響があり、2020年代後半に予定されているIR開発は、中国人観光客を収益源にするには複雑な要素となる。

実際、前述したように、日本のIR議論は当初から非常に明確なパターンに沿って進んできた。政治的左派に行くほど、カジノの合法化に対する反対は強くなり、政治的右派に行くほど、IRの対するサポートが強力になる。

この文脈で、慰安婦の記念碑に抗議してサンフランシスコとの60年前の姉妹都市関係を終了させた大阪府の吉村洋文知事は、夢洲IR開発の地域外交上の影響および日中関係に応じてブラックリストに載る可能性などを考え抜いているかは不明である。(AGB Nippon)