日本のIR政策が崩壊寸前

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日本のIR政策状況は現在危機的な状況に陥ており、このまま完全に崩壊するか、少なくとも長い間の停止期間をを余儀なくされる可能性が出てきた

かつては多くの自治体が地元の観光を後押しする可能性のあるIRを求めていたが、現在手をあげている自治体は4か所に絞られている。今では、これら4つの自治体でさえも、IR開発の競争に参加する意思を持つIR事業者を見つけるのに苦労している。
先週だけでもマカオの大手企業であるサンシティ(Suncity)とギャラクシー(Galaxy Entertainment Group)が、スポーツチームのスポンサーシップなどを通じて地域社会との連携を図っていながら、長い間準備をしてきた自治体における事業者公募から撤退した。
今週、和歌山県の仁坂吉伸知事が明らかにしたように、同県がIR誘致の道に留まるかも今となり当然のことではない。唯一残っている公募参加者であるクレアベスト・グループ(Clairvest Group)は、十分な提案をまとめることができるかは未知数である。
数年前、仁坂知事は和歌山IRに対する熱意を伝えるため、ジャパン・ゲーミング・コングレスの会場で自ら企業などに働きかけていた。知事は多くの時間をIR誘致に費やし、和歌山県の経済発展の中心的な政策として位置付けていた。しかし今は区域認定プロセスの最初の大きなステップさえも完了していない段階で、防御線を張っているのかもしれない。
和歌山と比較すると大阪は僅かながら良い状況にはいる。事業者公募への参加者が1者のみという点は同じだが、幸いなことにMGMとオリックスのコンソーシアムは実績があり信頼できる組み合わせである。しかし依然として、自治体の交渉におけるレバレッジは弱いことには変わりない。新型コロナウイルスによる資金不足などで地元企業が投資の範囲を慎重に見極めていることもあり、夢洲のIRは当面の間、当初予定されていたスケールよりはるか小さなものとなると言える
横浜の場合はまた別の課題が残る。ギャラクシーがラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands)とウィン・リゾーツ‘(Wynn Resorts)同様、横浜からの撤退を表明した。カジノ管理委員会が収益性を限定する更なる条件を課すのではないかや、あるいは地元行政とIR誘致自体に反対している市民との間の衝突が広がるのではないかなど、大きな政治的な問題もある。
候補地の中で、長崎県のIR誘致プロセスだけが順調に進んでいると言えるが、国策としてはそれだけでは不十分。
日本のIR整備プロセスの異常事態をどするかは、結果的には中央政府に全てがかかっている。
楽天の三木谷浩史最高経営責任者は今週、CNNに日本政府が今年の夏にオリンピックを開催の主張に対して「自殺行為」に例えて語った。これは、理解を超える次元まであらゆる犠牲を払ってでも前進するというIR整備に対する政府の姿勢にも似ている。
今後の選択肢は3つしかない。まずは弱体化した状態でIR整備プロセスをこのまま進めて行くこと。または、一旦プロセス全体を数年間停止し、再構築する時間を作る手段。それとも政治的損失をなるべく少なくし、プロセス全体を無期限に凍結すること。(AGB Nippon)