北海道の鈴木直道知事にIR誘致を再度説得しようという新たな試みを見ると、苫小牧市にいつかIRが出来る日が来たとしたら、それは紛れもなく市政の粘り強さが理由になるであろう。
苫小牧市は、世界のゲーミングメディアに「北海道」が今ラウンドのIR誘致を「再検討」しているかのような報道をさせることには成功している。
しかし、しっかりと状況を確認すると、盛り上がる理由は現時点では殆どない。今までIRを推進してきた団体などが再度動き出したに過ぎず、過去に浮き彫りになった課題はどれも一つ解決されてはいない。
道知事が今ラウンドのIRを断念すると発表してから、国のスケジュールの延期にも関わらず、重要な要素が何一つも動いていない。
先週、苫小牧市が植苗地域に環境への影響を抑えられると想定する開発用地を特定した発表した。また、道路整備に100億円と上下水道整備に78億円を市が原則として負担する方針も明らかにした。
それは良しとして、これにより話に大きな進展があるかというと話が別だ。
鈴木知事は今まで環境アセスと非常に厳しいかスケジュールを今ラウンドのIR整備を断念した理由としているが、現地メディアも当時報道したように、北海道の保守的な政党などもIR誘致のコンセンサスが取れていなかったのも事実である。
苫小牧市は常にIR誘致には積極的な姿勢をみせているが、道のほうでは与党側根強い反対意見もあり、地域の与党でも気乗りしていない様子が伺える。
鈴木知事は39歳の若さながら慎重で物事をよく考え抜く評判である。当初は環境問題をIR誘致を見送る理由にしたかもしれないが、実際は北海道議会のIRに対する支持の弱さのほうが影響があったかもしれない。
単刀直入に言うと、北海道のIR誘致に関しては苫小牧市発の情報に耳を貸さずに、実際に目を向けるべきなのは北海道庁が所在する札幌の動きである。(AGB Nippon)