カジノ課税制度、問題点のまま

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現在のIR進捗状況でも、カジノやIRの課税が不明なままで争点となっている。

大抵の先進国の場合、このような詳細の多くは基本方針案(2018年7月のIR実施法)に含まれるが、日本のIR規制の諸相と同様に国会が可決した法案には具体的な案内はなく、安倍政権と官僚が自由に書き込み出来る小切手のような内容になっている。

当時、野党の議員は不満をあらわにしていた。政務当局が国会で証言したときも、方針案の内容が検討中であると言い、具体的な情報を提供することが出来なかった。与党は気にせずに「後でいい」と言わんばかりに実施法を押し通した。

それから一年半が経っても、「後でいい」の状況が続いている。

多くの国際的IR事業者は痺れを切らしていることが明らかであるが、問題を起こしたり日本政府について堂々と文句を言ったりしたくないと考えられる。

自治体が情報募集(RFI)、コンセプト提案募集(RFC)、事業計画の公募(RFP)を行うたびに、IR事業者は収益予測、投資の最適なレベル、投資リターン率などについて計算しなければならない。課税に関して明白な情報がないと計算がより難しくなり、提案を確定することもほぼ不可能となってしまう。

課税面で最近懸念されているのは 訪日外国人客がギャンブルにより取得した賞金に関する提案である。

提案されている制度では、日本の3つあるカジノ事業者は利用者ごとにカジノ入場時のチップ購入と現金交換額、テーブルでのチップ購入、各ゲームの結果を記録・保管することが必要となる。

税務当局はそれからその記録で、各国との租税条約に基づいて訪日外国人客が出国する前に税金を払う必要があるかどうか判断する。

例えば、中国からの訪問者は日本の税務局に支払わざるを得ないが、韓国人は母国の韓国のみで納税義務を果たさなければならない。

与党は本来この提案を今週に決定する予定だったが、来年度まで見送られることになった。

メディアでは、議員は「事業者の事務負担が重くなり、日本のカジノへの投資を萎縮させかねない」と懸念を示した。

国内のメディアで報道されるわけではないが、IR賛成派の議員による課税案に関する懸念の正体は、日本の政治家である仲間に課税案が煩わしくて実践的でもないと言いつけた国際的IR事業者の懸念であることが想像に難くない。

今後のVIP収益にも影響を及ぼすことも考えられる。

マカオは中国のマス向け市場を主に焦点を当てる方向性に移り、中国のVIP客はフィリピン、カンボジア、ベトナムなどの新規市場に目を付ける傾向にある。

日本もこのVIP市場の一部を引き寄せる可能性があるが、極端な課税制度により近寄りがたいだと感じるものもいるでしょう。カジノとは勝率より敗率がすでに高いもので、マイナス要素のリスクを共有していない税務当局に分け前を取られるのは我慢できないかもしれない。

現在、規制の不確実さによりIR事業者が不安になっているが、もっと不安を感じるべきなのが日本のIR実施法の社会的な合法性が怪しいところである。一般市民の多くはIRの開発に反対しており、議員とIR産業の代表者がより一層の努力を込めて一般市民を説得しない限り、将来では多数の政策不履行に繋がりかねない。(AGB Nippon)