安倍政権が崩壊すれば、日本のIR方針は存続するのか

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2018年7月にIR実施法が成立されて以来、日本のIR開発が本当に前進するかという質問に対する答えは肯定的な領域にある。しかし、ここ数ヶ月の予期せぬ出来事により、日本のIR方針が完全に崩壊してしまう可能性が少なくともゼロではなくなった。

一つの大きな打撃となったのは言うまでもなく、500ドットコム(500 Dot Com)の賄賂スキャンダルとその深刻な影響である。

第一に、このスキャンダルによりIR賛成派の政治家の中でも著しかった元衆議院議員の秋元司氏と元防衛大臣の岩屋毅氏などが信用を失った。その他のIR開発を受け入れようと少しでも勢いがあり過ぎるように見える保守派政治家も、自分のふところ、もしくは仲間のふところを肥やすことが目的ではないかと疑問をかけられる危険性がある。

第二に、政府は基本方針の発表を先送りする方針が固まってしまい、各自治体が事業計画の公募(RFP)を行いIR事業者パートナーと選定しなければならないというときに、自治体は方針の具体的なところが分からず、暗中模索のままだ。

第三に、IR誘致競争に参加するかしないか決めかねていた自治体は、政治的なリスクがあまりにも大きいという判断を下す事態を招いた。今となっては、ライセンス入札を進めようとしているのは以前から入札の準備をしてきた横浜、大阪、和歌山、長崎である。

第四に、安倍政権が責任をもって現金の溢れた何千億規模の新しい産業を管理できるかどうか現実的な疑問が生まれた。日本は基本的に誠実で公共心のある社会だが、最も腐敗が深刻であるのは議会にうそをついたり、書類を破り捨てたり、献金に見て見ぬふりをしたり、民主主義のウォッチドッグスを黙らせたり、検察庁を政治問題化したりすることに慣れ過ぎた社会上層部かもしれない。

最後に、500ドットコムの賄賂スキャンダルによりIR開発に対する世間の反対姿勢は激化した。IRは怪しい賭場ではなく家族全員が楽しめる健全な場所であると世間を徐々に「教育」していくことなく、IR業界は犯罪と不正のたまり場であるという根深いイメージを強化しただけだ。

しかし、カジノ賄賂スキャンダルの後にそれを超える予期せぬ展開があった。それはダイヤモンドプリンセス号の客船と新型コロナウイルス感染症(Covid-19)危機に対する政府のぬるい対応である。

2017年に、森友・加計学園問題により安倍政権の汚職と不誠実が明らかになった。しかし、首相の評判がどん低に落ちても、ビジネス界、とくに大企業はそれでも安倍政権を支持することを明らかにしていた。政府がビジネス重視の政策さえ実行すれば、大企業は汚職をそんなに気にしないというお考えのようだった。

しかし、新型コロナウイルス感染症は安倍政権の残り少ないまともなところである政策実行力の評判に大きな打撃を与えた。

安倍政権はますます軽率になり、内部分裂し、斬新的な考えに欠けているように見える。今年中に崩壊してもそれほど驚くことではないでしょう。しかし、2020年が無事に終わっても致命傷を負った状態から以前の力を取り戻す見込みが薄いと考えられる。

今年中に安倍政権が現に崩壊したら、IR開発も道連れになるだろうか。その可能性が低いとはいえ、絶対にあり得ないとはとても言えなくなってきた。

現時点では、安倍首相の強みは今までと変わらず、野党が与党の自民党にとって一切の脅威になれないということである。これはすべてのIR賛成派にとって同じだ。世間の政府に対する信用が落ちることがあっても、与党の裁定支持率は改善しない。

他の自民党政権が安倍政権の代わりとなるだけというのがポイントだ。

現時点の方針継続という意味では良い知らせであるが、保証というわけでない。北海道での出来事を考えてみましょう。保守派の鈴木直道知事が当選されたことにより北海道におけるIR開発の希望が存続したが、それでも長く持たなかった。

ゲーミング業界にとっての最悪の事態は、安倍首相の後継者がIR開発に対して個人的なイデオロギー的な異論がなくても、世間が明らかに気に入らない政策のために自分の世評をかけたくない人物が選ばれることだが、これはもはや論外ではなくなった。

政府が3つあるIRライセンスを自治体に付与するまで、政策の見事な逆転はいつでも起こり得る。(AGB Nippon)