米国最高裁判所がスポーツベット禁止法を廃止

米国最高裁判所がスポーツベットに対する法律を廃止し、各州が独自のスポーツベット法を導入できることになり、数十億ドル(数千億円)規模の市場を開拓する道が開いた。

1992年から存在するプロアマスポーツ保護法(The Professional and Amateur Sports Protection Act = PASPA)では、サッカー、バスケットボール、野球、その他のスポーツにいくつかの例外を除いてギャンブルが禁止されていた。

今回の同法が覆されたことに先立って、ネバダ州、オレゴン州、モンタナ州、デラウェア州の4州だけが何らかの形でスポーツベットが許されていた。

ウェストバージニア州は今年初めにスポーツベットを合法化し、ペンシルベニア州は昨年、36%という非常に高い税率で合法化を図った。

アメリカン・スポーツ・ベッティング・アソシエーションおよび業界の支持者たちはこの動きを歓迎した。

「これは連邦主義と国家主権の原則を再確認する重要な憲法上の決定である。私は常にギャンブルに関連する決定を州政府と先住民部族の行政に任せなければならないと信じていました」とアリゾナ州検事総長マーク・ブルノビッチ(Mark Brnovich)氏は述べた。

アメリカ・ゲーミング協会(American Gaming Association = AGA)は違法ベットの市場を1500億ドル(約16兆3500億円)と推定しており、グローバル・マーケット・アドバイザーズ(Global Market Advisors = GMA)によればスポーツブックの平均5.5%の利益率を仮定すると、82億ドル(約8,940億円)以上の税収入に繋がる可能性がある。

しかし、GMAのスポーツと技術のマネージングディレクターであるジョン・イングリッシュ(John English)氏は、まだ市場を開拓する上でのハードルがあると警告した。

「これは、国家の権利だけでなく、ゲーミング業界全体の勝利であり第一歩でもあります。しかし、ペンシルバニア州の例のように、合法的な運営者が違法ブックメーカーと効果的に競争することを妨げる高税率とスポーツリーグへの手数料が存在するため、多くの州では利益を得ることがない可能性が出てきます。ビジネスの機会として期待を持てるのは、ゲーミング税が比較的低く、スポーツリーグと協力する政治的な必要性がないアメリカ先住民部族の市場にあるかもしれない」と語った。

一部の業界アナリストは、米国市場が開拓されることにより、アジアを含む他の地域でもスポーツベットを合法化する動きが早まるかもしれないと推測している。(AGB)